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shv日記

気が向いた時に綴るブログ

【雑文】この世界の片隅に 感想

映画

この世界の片隅に」を観てきた。

クラウドファンディングによる資金調達も得て作り上げた、こうの史代さんの漫画を原作としたアニメーション。監督は片淵須直氏。初めて見る監督作品となった。

場所は音に拘りを持つことで名を知られており、今作も極音上映する立川のシネマシティで。

シネマシティ|ニュース:『この世界の片隅に』11/12(土)公開【極上音響上映】決定。

 

豊作だった感のある昨今の長編アニメ映画にまた一つ傑作の作品が加わった。

 

内容と雑感

ざっくりどんな作品かと言えば、呉の北條家に嫁いだすずさんの日常を描いた日常系アニメである。

とにかく戦時下であってもすずさんの日常を中心に描くという意思を徹底していると個人的には感じた。

 

物語は、絵を描くのが好きでぼーっとしがちな広島に住んでいるすずの子供時代から始まる。

やがて嫁に行くことになり、行った先は軍港都市の呉。

そこでの旦那の周作さんやその両親、家に戻ってきた義姉やその娘の晴美との日常が始まる。笑えるシーンもあり、ひたすらすずさんの生活が描かれていく。

やがて戦局は悪化し、呉にも空襲が来るように。

この頃から主人公や周りにも影響が及び、不発弾の爆発で晴美ちゃんは死んでしまい、すずは右腕を失ってしまう・・・雰囲気も変わり、すずの苦しみが描かれるように。

最後は終戦、戦後の街へと時は流れ、周作さんと戦災孤児を引き取って家に戻り、日常は続いていく。

 

とにかく、みんなの起きる出来事に対する反応がリアルに描かれていたなという印象を受けた。

例えば 

・軍艦を描いてたら憲兵に取り締まられ、シュンとしているすずと、ぼーっとしてるすずが取り締まり受けるなんてと爆笑する家族

(庶民が憲兵に怒るとかそんなご都合主義な展開ではないのだ)

・空襲警報に対して、また来たよって反応(何度も来てればそういう反応になりがちですよね)

・夜でも警報の度に避難するため寝不足であくびする姿(恐怖感もそうだけど、寝不足が一番堪えそう)

玉音放送の後、終わった終わったって反応、また一方では晴美の名前を叫んで号泣した義姉やすずの叫び。

 

色々な場面に対する反応が、人間そうなるよねってなるようなことばかり。戦時下の人たちはこんな感じで過ごしていたんだなって思うようなまるで過去をそのまま切り取って来たかのような自然な日常生活がそこにはあった。

また、様々な音にもこだわっていたように思う。裁縫の音、料理の音、鉛筆で描く音。日常生活における音がちゃんと表現されていた。

 

そしてこの時代の大きな出来事である戦争は真ん中に据えない。あくまで日常生活に迫っている外からの出来事という形の描かれ方だった。極めつけは、原爆投下の瞬間。光と振動で分かるだけという呉にある家からの視点だった。

(6日はお祭りってセリフからフラグ発動させたと思ったら、そうではなかった。)

ただし呉への爆撃はかなりしっかりと描かれている。砲弾の音、焼夷弾や照明弾の投下などは凄まじく、見ているこちらは気持ちが沈むこととなった。

 

所々でタッチの全然違う絵の数々も印象に残った。腕を失った後の歪んだ絵の数々は心境がよく伝わってきた。

 

感想

派手な設定では無く、暗い展開もあるけれど、笑えたり、おおっとなったり、ほんわかしたり、色んな感情が溢れるいい映画だった。

すずさんはありゃー顔が印象的。腕を失った後しばらく無くなったけど、また時が経つと復活しててなんか安心した。

なお、のんちゃん?能年ちゃん?の声はそこまで違和感無く、すっと入ってこれた。

後は、行ったシネマシティがこの映画を極音でやった理由がよく分かった。これは音に拘るべき映画である。

 

年の最後にまた良いアニメ映画を見ることが出来て良かった。 すずさんに幸あれ。